管理栄養士はナゼ薄給なのか

どうして管理栄養士は国家資格なのに給与が低いの?

大学の栄養科で勉強していると

私立の文系の大学生が凄く羨ましかった。

もう(私が学生の時なので)10年くらい昔の話だけど、管理栄養士養成校って

朝から晩まで授業あるし、レポートあるし

毎日実習や実験があり体力的にもキツい。

さらに教職課程なんて取ったら、夏休みなどの長期休暇さえなくなる。

他の文系大学の友人は、大学3年までに単位を取り終わって

「一年間、海外旅行してくる~!」

とか言っていた。しかし私たちは卒業式直後の3月に国家試験が待ち受けている。

国家試験に合格するまで、気が抜けない。

そんな厳しい道を乗り越えて...就職すると

管理栄養士職(主に病院とか委託給食会社とか)の給与の安さに気づく。

いや、就活している時から知っていたよ。

「あれ?専門職なのに、一般職よりもめちゃくちゃ低い!!」

ということに。

病院に就職し(正式には委託給食会社)

パートスタッフさんと本社の間に挟まれ、新卒とともに「中間管理職」

を味わいながら、思うわけだ

「あれ・・・これって仕事内容に比べてめちゃくちゃ給料低いよね?」

目次

【なぜ管理栄養士は給料が少ないのか?】

病院で働いていると、看護師、薬剤師、医師、臨床検査技師など

様々な職種の人と出会う。

恐らくその中でもかなり給与は低い方だろう。

では、なぜ低いのであろうか?

これは私なりに考えた理由なのだけど

①規模によるが病院に1人いればいい

②社会的地位

③給食のおばちゃんという認知度

④日本では食関係の地位が低め

⑤活用して売り上げを出せる場が少ない

⑥なくても成り立つことの方が多い

⑦まだ日本では栄養の大切さが二の次だから

⑧大学の偏差値の低さ

⑨入学理由の多様化

⑩本人たちの努力の問題

これらの理由があるのでは?と思う。

特に、自分自身で独立して思うことは

⑤と⑥と⑦の理由が大きいのではないかと思う。

つまり、利益になりにくい業界なのだ。

だって注射したり手術したり、薬を出したりは自分でできなくても

ご飯を作ることも食べることも自分でやろうと思えば出来ちゃうからだ。

必須ではないからだ。

きっと「健康の為にはバランスの良い食事は大事」

ということはみんな知っている。

知っているんだけど、二の次になってしまうし

具体的な方法は特に知らない。

かといって病気になるまで真剣に取り組まない人が多い。

「ちょっと俺、中性脂肪高めだけどビール飲んじゃうぜ~」

くらいのちょい悪がなんかカッコいいくらいの風潮さえある。

その根本的な意識が問題なんだろうけれど

それを理由に言い訳をしていたら何も進まない。

だから、現実はまだ薄給かもしれないが

少しずつ伝わる人に伝える。

必要としている人に提供する。喜んでもらう。

まずはそこからなのではないかと思う。

まさかの皆保険制度も弊害に?!

また、保険適用、自由診療にかかわらず、食事指導というものに携わってきて、クライアントさんが

「ま、病気になったら健康保険で3割負担で済むし、薬飲めば済むからね」

とよく言っていたことも、この栄養士の存在意義や待遇と関係しているのかもしれないと思うこともある。

日本の場合、病気になっても手厚い保険制度により、少ない負担額で病院にかかることができる。

難病や遺伝性のものなどは別として、生活習慣からくる疾病に関しては、自らの日ごろの行いで発症を遅らせたり予防することも本来は可能だ。

しかし、本当に大事なことは病気になってから治療するのではなく、なるまえに日ごろの習慣で防ぐことなのではないかと思う。

そこに関しての意識が、高まりにくいのも、日ごろの食事をないがしろにし、食事指導の大切さが薄くなってしまう→栄養士の地位が上がりにくく低賃金になる理由なのではないかと思う。

余談:多忙すぎる日本人

余談ではあるが、みんなが「忙しすぎる」のも原因の1つとしてあるのではないかと思う。忙しいとどうしても自炊の時間がなくなり、外食や総菜の頻度が減る。

外食や総菜は、大衆においしいと感じてもらうために、塩分や脂質なども多く使う傾向にあるため、どうしてもバランスが崩れやすくなってしまう。

(塩分控えめ、野菜たっぷり弁当などもあるが)

「時間がない」

これこそが、日本国民の国民病なのかもしれないし、時間がないからこそ食事に気を配るほどの余裕がもてない。健康が二の次になってしまう。

やっと老後になり自由な時間が手に入った時には(とはいえ、今は老後も労働しないと生活していけないパターンも多いが)

予防ではなく、すでに病気になっていてこれ以上酷くならないように気を付けるしかなくなる。

経済のことまで話が広がると、自分だけの努力ではどうしようもできなくなってくるかも知れないが、私の個人的な感覚としては

このような日本人をとりまく環境、社会体制、経済なども健康意識と複雑に絡み合っているのではないかと思う。

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食育子(しょくいくこ) 福岡出身の管理栄養士。一児の母。 もともと居酒屋で飲み食いするのが大好きだったが、妊娠・出産を機にほとんど飲まなくなった。 今は、外食をあまりしなくなったので、二郎系とかを家でどうにかして作れないか試行錯誤中。
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