【コラム】なぜ「〇〇だけダイエット」のような単品ダイエットが流行り続けるのか!?

目次

【単品ダイエットが今でも流行る理由を管理栄養士として考えてみた】

りんごダイエット

バナナダイエット

キャベツダイエット

こんにゃくダイエット

ゆで卵ダイエット

お粥ダイエット

・・・などなど、昔から今まで色んな「〇〇だけダイエット」のような単品ダイエットが流行しては廃れ

また新たなものが誕生してというのを繰り返してきました。




単品ダイエットは20年前も現在も何かしら流行り続けている

私も小学生の頃からダイエットに興味を持ち、毎週のように本屋さんに行っては

色んな新しいダイエット法を調べて、実際に試した経験も沢山あるので

「〇〇だけダイエット」の魅力も知っています。

元々、私自身が色んな極端なダイエット法に翻弄され苦しんだ経験から管理栄養士になり

「もっと正しい食事法・ダイエット法を伝えたい」と強く思ったことから

独立してフリーの管理栄養士としてお仕事をするようになって、あれから20年。

「やっぱり運動が大事だよね!」とか「ちゃんと食べることが大事だよね」

と以前よりも正しい・ちゃんとした情報が発信されるようになった今でも

「〇〇だけダイエット」って本当になくならないんだな...と正直驚いています。

私自身、色んな書籍を調べてメリットやデメリットを分析していくうちに

(特にダイエットした後のリバウンドのリスクや健康を害するリスクなど)

「何だかんだ、バランスよく食べるのが一番めんどうだけど、近道なのでは?!」

と高校時代に結論が出たので、管理栄養士になったのですが

専門家としての感覚と一般的な感覚には大きな差があることを実感してきました。

これまで管理栄養士としてダイエットや食事のアドバイスをしていて

実際に指導をしていくと「単品ダイエット、○○ダイエットに頼ってしまうリアルなお客様の声」を聞くことが出来たのです。

そこで、今まで私が色んな方をカウンセリングして分析してみた結果わかってきた

「なぜ、単品ダイエット・○○ダイエットが今でも流行し続けるのか」についてをまとめていきたいと思います!




単品ダイエット・○○ダイエットに頼りたくなる理由

 

①簡単に始められる

まず、1つの食材だけ準備すれば良いので実行が非常に簡単ということです。

多くの方が「自分は何を食べたら良いのか」を知りたがっています。

だけど、その品数が多いと実際に毎日食べることが困難なようです。

栄養学を学んでいると「○○がダメでも××を選べば良い」と思えるのですが

一般的には「あなたはコレさえ食べれば良いよ」というものを1つでも良いから決めてられると

すごく気持ちが楽なようなのです。

②何を食べるのか考えなくて良い

①の簡単の話とつなつながっていますが単品ダイエットの場合は「何を食べるのか考え無くて良い」

というのがずっと流行している理由なのではないかと思います。

恐らく、こう思う理由は、現代において「あまりにも選択肢が多すぎる」ことが原因なのでは?

と思います。

実際にお客さんでも「毎日の食べ物を選ぶことが面倒なんです」と言っていた方が結構いました。

これは、自炊に限らずコンビニなど外食中心の方でも「何かを選ぶ」という行動自体がストレスとのこと。

恐らく、多忙な現代人は食べ物だけでなく、お仕事や普段の生活で我々はたくさんの「選択」を強いられています。

だから、食べ物くらい考えたくない=単品ダイエットだと楽!というのが本音のようです。

③短期で結果が出やすい

また単品ダイエットは、すぐに結果が出やすいというのもずっと流行し続けている理由だと思います。

頑張った結果がすぐに出ると、やる気も出ますよね。嬉しいですよね。分かります!

だからこそ、単品ダイエットは今でも流行し続けるのだと思います。

その時その時で

〇〇という食べ物に含まれている□□という成分に、脂肪の燃焼を助ける働きがあることが分かった!

とあたかも画期的な成分が、私たちのダイエットを助けてくれる救世主のように見せかけて流行していきますが

実際にはこの成分が理由でダイエットに成功したのではなく

単品に絞ることで摂取エネルギーが減少したから痩せただけなのだと考えます。

しかも健康的に痩せたかどうかも定かではありませんし、リバウンドしない保証もありません。

しかし、結果がすぐに出た!という部分だけ先走りして

「○○さんがそれで痩せたそうだから私もやってみる!」と、その救世主風の方法を真似していくのではないかと思います。

まとめると、単品ダイエット・○○ダイエットというのは

「すぐに始められる」「何も考えずに1つの食品にだけ意識すれば良い」なのに「結果が出やすい!!」

ということが、今でもずっと流行してしまう理由なのだと思います。



カンタンなことで大きな変化を求めたがる私たち

この根本にあるのは

「面倒なことをは避けつつも、非日常な”何か”を実行して結果を出したい」

という、変身願望なのではないかと考えます。

これは、私自身が毎週のように本屋さんに行き

最新のダイエット法をチェックしていた時にそういう心境だったので分かりますが

矛盾しているようだけど、きっと今の自分を変える”何か”を探している

それも、まったく面倒じゃないのに人生が変わるくらい結果が出てしまうような爆発的な何かを。

「そんなこと、難しい」って実際には分かっているんです。

地道な努力が大事なことも分かっている。

だけど、「何かすごい裏ワザ」が出てこないかと同時に期待もしちゃっているんです。

実は○○ダイエットの「○○」は何だって良いのかも知れません。

ただ、”今のわたし”を簡単にスグ変えてくれそうな何かに頼りたいだけなんだと思います。




効率性、コスパ、時短、をダイエットにも求める現代

こんなに便利になっても、どんどん忙しくなる私たちは

食べ物に関して考えてる時間すら、惜しいと思っている人が多いのです。

それがダイエットしたい!と願う人であっても、そう思っています。

では、実際はみんな「楽して瘦せられる」と思っているのかというとそんなことはありません。

本当は「バランスよく野菜とかもちゃんと食べる必要がある」ことは分かっているのです。

しかし、効率性、時短、コスパを自分の身体をつくる食にも求めてしまうくらい

私たちは何かに追われているのかも知れません。

☆正攻法のバランス食ダイエットが流行らない理由

では、なぜ「バランスよく食べる正攻法のダイエット法」だと流行らないのでしょうか。

それは...シンプルに面倒だから、そして「面白味がないから」

そして「まだまだ不十分だ!!もっと努力しろ!」頑張りを求められるからだと思います。

毎日3食、〇品目の食材を買ってきて作って食べる?そんな時間がある人って現代にどれくらいいるのでしょう。

忙しい中、実際に頑張っている人もいると思います。

しかし、それって本当はめちゃくちゃすごいことなのです。

当たり前のことじゃないのです。

(私は自分が3食自炊出来ないからそう思います)

働いていると出先でお昼を済ますことや、接待で夕食を食べることも有るでしょう

だけど、正攻法のダイエットはそんな忙しい私たちをまるで

「怠け者!!」「もっと君は頑張れるだろう!」

と、責められているような気がするのでは?と考えました。

これが、正攻法のダイエットは流行せず、単品ダイエットが流行し続ける理由なのではないかと思います。




では簡単にダイエットしたい私たちはどうすれば良いのか

実際に管理栄養士としてお客さんに食事のアドバイスをしていたら

「だったら、毎食私に料理作ってよ」

と言われたこともあります。

私は、この時、本当にその通りだ!と思いました。

私だってそんな便利なシステムあるなら利用したいくらいです。

「そんなにバランスよく考えて食べなきゃいけないのだったら、何も食べない方が楽だ」

と言われたこともあります。

ダイエットしたいけど仕事や家事、育児に追われている中、これ以上頑張り続けることは難しい

という一例なのでしょう。

プロ目線だと「その中で、時間を見つけてやっていきましょう!」とか

「本気ならば、そこを乗り越えて頑張って!」

と厳しくなりがちなのですが、お客さん目線だと

「今の自分を却下されて、もっと頑張りなさい!」と言われている気持ちになるのだと思います。

なので、正攻法(バランスよく食べるダイエット)を伝える

わたしたち専門家側も、ただ正論だけを伝えていくだけではいけない

正攻法でも、”簡単にやれる方法があるよ”と伝えるスキルを上げて引き出しを増やす必要もあると思っています。

つまり単品ダイエットが流行し続ける理由は

①小さい努力で大きく変わりたいという変身願望

②専門家側の考える常識と一般の人が求める”理想の差”

③その”隙”をついた「新しい救世主(っぽい)の単品ダイエット」

この3つ関係性が大きく影響しているのではないかと考えます。

 

そこで、専門家側である私が②の「理想の差を埋める」ために

ダイエットしたい人の気持ちを考えてみることにました。



◆ダイエットしたい人の気持ち

・”何か”をすることで大きく変わりたいと思っている

・そんな魔法みたいな”何か”を探している

・正攻法が良いのは知っている

・だけど、今の生活を変えたくない

・面倒なことは増やしたくない

 

という、ダイエット願望のある方のジレンマ大きく関係していると考えます。

専門家目線ですと...

[voice icon=”http://shokuikuko.net/wp-content/uploads/2017/03/IMG_0059-e1508168122586.jpg” name=”専門家” type=”l line”]「楽して痩せようと思っている時点で、もう成功しないよ。もっと原因見つめ直そうよ」[/voice]

 

と言いたくなるところですが

それでは「専門家とダイエットしたい人」の間にある理想の差がいつまでも埋まりません。

では、感覚の差を埋めるためにはどうしたら良いのでしょうか。

その為に私が考えたのが

”単品ダイエット”を否定せず上手く活用してみてはどうか?ということです。

しかし専門家として、やはり全員に単品ダイエットをやって欲しいわけではありません

向き不向きがあるからです。

そこでまず、自分に単品ダイエット・○○ダイエットが合っているタイプなのかを確認する

セルフチェックを作成してみました!

 




 

【単品ダイエットが合っている人合っていない人】

☆合っている人☆

・普段食べ過ぎの人
・揚げ物やジャンクフードが好きな人
・その食品が普段不足している人
・全体的に太っている人
・結婚式など短期で結果をだす必要がある人

☆合っていない人☆

・部分痩せしたい人
・ストレスをためやすい人
・健康的に痩せたい人
・引き締めたい人
・アレルギー体質の人

単品ダイエット・○○ダイエットが向いている人は、コツを掴んで実行してみても良いと思います。

逆に向いていない人は、単品ダイエット・○○ダイエットを試しても結果が出ないか

かえって健康を害する可能性もありますので専門家に相談してください。




【どうしても単品ダイエットをやりたい場合の裏ワザ】

では、単品ダイエット・○○ダイエットを実際に行う時の

私が提案する方法が以下の通りです。

①1~3日間の短期間で終わらせる
②一日一食のみで置き換えてみる
③目的をダイエットではなくデトックスや胃腸の休憩として行う

やはり管理栄養士としては、長期間 単品ダイエット・○○ダイエットを行うことはおススメしません

ふだん食べ過ぎている人がリセットする目的で最長でも3日間まで実行するのは良いかな?というくらいです。

もしくは「朝食だけ」「夕食だけ」など1日のうちの1食だけを置き換える

くらいライトに実行することで体への負担を減らしながら行う。

また、目的を体重を減らすことではなく「胃腸の休憩」として行うようにする。

この3つのポイントを守るのであれば、単品ダイエットも健康の邪魔をしないと考えます。

ただしセルフコントロールができる人に限る

あまり単品ダイエットをおススメしない理由として

痩せていくと楽しくなってきて、歯止めがかからないことがあるからです。

「1日だけやってみよう」とリセットのつもりで試してみても

実際には、体重がどんどん減っていくことに快感を得て続けてしまい、健康を害する人もいます。

なので、自分で自分をコントロールできる人でないと単品ダイエットはおススメしません

(自分でコントロールできる時点で、そもそも普段の食事からコントロールできる人ですが)

単品ダイエットをやることで、実際に目的としたいのは

体重を落とすことではなく、異常な食欲を落ち着かせることなので

体重の減少を目的にしないこと が重要です。

まとめ 急激に痩せたとしても急激にリバウンドする

さて、今回は「単品ダイエット」が何十年も流行し続ける理由についてを

ダイエッター目線で考えてみましたが

軸としてあるのが”少しの苦労で大きく変わる「何か」を探し求めたい人々の変身願望”

であると結論付けました。

しかし、その夢のような願望とは裏腹に我々には「ホメオスタシス」=恒常性

つまり”元に戻そうとする力”が常に働いているわけです。

このホメオスタシスは、決して悪いものではなく我々の身体を大きな変化から守ってくれています。

これがあるから、私たちの身体は体温を正常に保ち、餓死から守ってくれているのです。

だから、ちょっとの努力で短期間でダイエットしたところで、このホメオスタシスによって

「危険だ!痩せすぎだ!!!餓死するから元に戻そう!!」と、リバウンドしてしまうのが標準装備なのです。

(そう思って飢餓でも生き残ってこれたのが我々の祖先の遺伝子なので)

なので、単品ダイエットですぐ痩せたところで、すぐに戻るもの

だと思って実行する。

もしくは、ホメオスタシスを騙しながら「長期間かけて少しずつの変化」で減らしていく。

のどちらかなのかなと思います。

結局、自分を変えてくれる”何か”は自らの行動力と継続力なのかも知れません。

 

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食育子(しょくいくこ) 福岡出身の管理栄養士。一児の母。 もともと居酒屋で飲み食いするのが大好きだったが、妊娠・出産を機にほとんど飲まなくなった。 今は、外食をあまりしなくなったので、二郎系とかを家でどうにかして作れないか試行錯誤中。
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